リウマチは女性の方がかかりやすい

女性は妊娠や出産と言う、男性ではできないことをやってのけます。
この間のホルモンの変動は、ジェットコースターの如く激しく、もしも人工的に男性に同じようなホルモンの変動を体験させたら、体が耐えられないだろうと言う産婦人科医も多いです。

リウマチは女性に多い疾患で、男:女=1:4と推計されています。
2016年に東京で行われた調査では、全リウマチ患者のうち86%が女性でした。
特に20歳代から増え始めて、50歳までに患者さんが集中しています。半数以上のリウマチ患者さんが20歳~49歳です。
つまり、生理がある年代に多いことがわかります。

一般的に妊娠中はリウマチは改善して、授乳中に悪化する傾向があります。
リウマチは自己免疫疾患の一つです。
自己免疫疾患とは、本来は自分にとっては異物となる物を排除する免疫機能が、何らかの誤作動を起こして自分自身の身体を異物だと誤認し、自分の体を攻撃してしまう病気です。

妊娠中は副腎皮質ホルモンの分泌量が多くなるため、自己免疫が抑制されます。
また、お腹の中の胎児や精子はお母さんにとっては異物ですが、これを身体が異物だと認識して排除してしまわないように、妊娠中は自己免疫が抑制されます。

しかし出産後は、この抑制が解除されます。
この免疫の解除が徐々に行われるのではなく急に行われるため、その反動で免疫の働きが一気に高まります。
この時に、免疫が暴走してしまいやすいのです。
したがって、出産後は自己免疫疾患を起こしやすい傾向があると考えられています。

10カ月かかってお腹の中で育った赤ちゃんは、徐々に排泄されるのではなく、一気に産み落とされるので、その間のホルモンの変動はとても激しいのです。

また、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロラクチン(乳腺刺激ホルモン)には、自己抗体の働きを促進する作用やサイトカインを活性化する作用があります。
サイトカインは、免疫反応を促進する物質です。
そのため授乳中はリウマチの悪化や発症しやすいことが分かっています。

また、エストロゲンが大きく変動する更年期の時期も、同様だと考えられています。
今まで分泌されていたエストロゲンの分泌が減るのが更年期ですが、この時期もリウマチを発症しやすい傾向があります。
全リウマチ患者さんの約22%が50歳代の発症です。

そして、女性の免疫システムは男性よりもずっとずっとデリケートで複雑で、暴走しやすいと考えられています。
そのため、自己免疫疾患は女性に多く、自己免疫疾患の一つであるリウマチも女性に多い傾向があります。

リウマチでも妊娠や出産は可能なのか?

リウマチだからと言って妊娠や出産を諦めることはないと言うのが、一般的な考え方です。
リウマチの主治医や産婦人科の担当医とよく相談して、計画的に進めていけば妊娠も出産も育児も可能です。

その際は、通院の頻度を増やしたり検査の頻度を増やすなどの、きめ細かな対応が必要となってきます。
妊娠や出産がリウマチを悪化させるのではないか、と不安に思う人もいることでしょう。

しかし一般的には、妊娠中はリウマチの症状が軽くなることが多いです。
前述したように、胎児が母体の中にいる間は自己免疫の働きが少し弱まるからです。
リウマチは自己免疫の働きが過剰になっている状態なので、自己免疫の働きが抑えられて改善することが多いです。

妊娠すると、治療法を変更しなければならないことがあります。
現在、中心的なリウマチの治療薬となっている抗リウマチ薬のメトトレキサートは、胎児の発育に影響があるので妊娠中は使えません。
ステロイドは胎盤を通過しないので、少量のステロイドで痛みをコントロールすることは可能です。

妊娠中に使うお薬としては、抗リウマチ薬の中ではサラゾスルファピリジンが使われることがあります。
生物学的製剤の中では、エタネルセプトが使えるのではないかと検討されています。

中には、妊娠中の10カ月だけは抗リウマチ薬や生物学的製剤を使わずに、貼り薬などでコントロールするという治療法を選ぶ妊婦さんもいます。
妊娠中の治療法やお薬に関することは、主治医とよく相談してください。

妊娠すると歯の治療がしにくくなります。
歯周病はリウマチを悪化させる一因となるので、妊娠する前に虫歯だけではなく歯周病もチェックしておくことをお勧めします。
そして虫歯や歯周病があれば、きちんと治療しておきましょう。

たくさんの患者さんが、リウマチでも無事に出産して子育てをされています。